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2001年04月11日

鳥になった日 [ ショートショート | 短編 ]

秋月涼著 【森のハーモニー】

 これも最初に読んだのはかなり前になる。最初は紙面で読んで、再度Webで読んだ。
 作者はサークルで一時期ご一緒していた方で、実際にオフラインでもお会いしたし、真面目で歌が上手(カラオケに行ったんだな/笑)な好青年である。
 一時期、忙しさのためにサイトを閉鎖されていて、もしかしてご紹介できないんじゃないかと心配したが、この度、無事引越し再開されたので、この機を逃さずご紹介させていただく事にした。
 私自身が「やらなきゃ」と鞭打たれないとなかなか腰が上がらないナマケモノなので、『お引越しおめでとう企画だ〜』と祭り騒ぎに(勝手に自分の中だけで)した方が、励みになっていいのだ。――自分が;<我侭;

 この作品はジャンルでわけるとショートショートになる。原稿用紙換算枚数は9枚。
 ショートショートというジャンルは短くて気軽に楽しめる事と、日本には星進一という巨匠がいらっしゃる事で、オンラインでもかなり人気が高いジャンルではないかと思う。実際、ちょっとした時間に手にとれて楽しめるので、私は好きだ。自分が書けないせいもあるけれど。
 ショートショートはいくつかのグループに分けることができるように思う。読後感で分ければブラックユーモア系・スカッと爽やか系などだろうし、下地で分ければSF小ネタ系・落語系などになるだろうか。もちろん、もっと(無限に)分けられると思うが、分けはじめるときりがないのでこれくらいに。
 この話はスカッと爽やか系でかつ落語系だ。

 対象がショートショートなもので、あまり感想を詳しく書くと完全にネタばれしてしまって楽しめなくなってしまう。――この辺が、ショートショートの感想の難しいところでもあり、私自身が気合が入るところでもある(笑)。

 この作品は「鳥になった日」というタイトルどおり、『鳥になる』ことができる。――とはいっても体は私たちは生身の人間なので、鳥になるために迷いもするし恐怖も感じるし、興奮もする。
 切り立った崖を眺めに行った時、あなたはどういう行動を取る人だろうか。高い所がダメで絶対に近づかないという人も居るけれども、大抵の人は恐る恐る崖の縁に近付き、そっと下の日本海(――がシチュエーション的には一番好きです、私は;)を眺めるのではないだろうか。そして、手のひらにじっとり汗をかいて、落ちちゃったら怖いよな、とか、落ちちゃった人居るのかな、とか、今まさに自分が落ちていっていると想像などして、奇妙な興奮に包まれるのではないだろうか。
 ――そういう『怖面白い』感覚を楽しむことができて、かつ、ハラハラドキドキ、手に汗を握ることができる、この作品はそういうお話だ。

 作品の楽しみ方はいろいろあると思う。悲しい時に悲しい話を読む人も居れば、楽しい話ばかりを読みたい人も居る。悲しい話を読んで気分が沈みこむ人も居れば、逆に昇華されて楽になる人もいる。(悲劇は人をカタルシスに導くので、多くの読者を魅了するのだと、有名な誰かが言っていたような記憶がありますが、名前が出てこないですT-T)
 カタルシスをどう感じるかは読者次第だと思うけれども、読者をカタルシスに導けるかどうかは作品のパワーや魅力にかかっている。そして、
 この作品は私を爽快なカタルシスに導いてくれた作品。スカッと爽快になりたいときに、読んでいただきたいお話である。

 私的ツボ度:★★★★☆

Posted by 風間 : 2001年04月11日 00:00 | トラックバック